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「あ、ご飯食べてなかったね?月くんはチャーハンとか食べられるかな〜?」
そう言うと月くんは少し困った後、首を縦にふる。嫌いと言う反応なのか分からないまま「う〜ん?」と言うと、月くんは気づいたのか少しだけ考えて
「……一緒に食べてもいいんですか?」
と、恐る恐るたずねてくる。その言葉に月讀くんは、こちらを見て「さっさとつくれ」と言わんばかりの表情で見てくる。僕は「はいはい」と言いつつチャーハンを作りもってくると
「月。私は見ての通りゴ神琴が嫌いだ。だが、褒める所を挙げるとするなら、作る料理だけは素朴で悪くない味だ」
という言葉が聞こえてくる。
月讀くんが僕を殺したいくらい嫌いで、暗殺を企て仕掛けてくるくらい憎い事を知っている。だからこそ、天地がひっくり返ったんじゃないかと言うくらい驚く言葉を聞いてしまい、僕は動揺して皿を落としそうになる。いや、ガシャーンという音を立ててスプーンは床に落ちてしまう。そんな姿を見て月讀くんは物凄く冷めた目で僕を睨みつける。
「因みに、それ以外はゴミクソ以下だ。」
「つぅくん照れ隠しかな?月くんご飯一緒に食べよ?」
その言葉に月讀くんは殺意が高まり、月くんは固まるが「はい……」と言って指定した僕の隣の席に座る。最初は緊張していたけど、一口食べると月くんはまた少し固まり、ボロボロと目から涙がこぼれる。
「え!?月くん!?不味かったかな!!」
「ゴ神琴。料理だけは褒めてやったのにな。」
「つぅくん普通に食べてるじゃん?それ、自分の味覚もおかしいって言ってるからね〜?」
余計な事を言う月讀くんを煽りつつ慌てて月くんに謝ると首を横にブンブンと振り二口、三口と口に運んでいるし、表情を見てみると嫌悪感ではないようで、どちらかと言うと
「……おいしい……です……ずっと……ちゃんと食べてなくて……」
と、今まで耐えてきたものが溢れ出すような表情で嗚咽混じりに口に運んでいた。情を移したくなくて月讀くんの方をみると、同じ事を思っていたのか僕の方を向いて目が合った瞬間とてつもなく不快な顔をされた。
その顔を見て情なんて一瞬で消え失せました。ありがとうございます。
そんなこんなで二人が食べ終わったのを確認して各々の部屋に布団をひく。
どうやら月くんは布団を見た事がないのか怯えた様子で僕と月讀くんを交互に見る。
その姿を見かねた月讀くんは月くんに使い方を丁寧に教え、隠し持っていた安眠効果のあるラベンダーとオレンジスイートの香りをその場で調合し、それを入れたアロマポットを月くんの部屋机に置く。
柔らかな香りがして月くんは少しだけ安心したのか、僕たちをチラチラ見ながら布団に入ると「温かい……」と言って、布団の中に潜り込む。
それを見て「おやすみ」といい電気を消す。
月讀くんとも別れ、この日は直ぐに就寝した。
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