0人が本棚に入れています
本棚に追加
濁る気持ち
「月くん。今日は色々ごめんね〜?」
「……いえ」
月くんは俯いているが、行く前よりどこか落ち着いた雰囲気になっている。別に月くんがどうしようと興味はないのですが、ほんの少し行かせてよかったと言う気持ちもない事はありませんでした。そして僕が彼に聞きたかった事
「月くんは僕の息子でいいの〜?君には復讐の為に友人になるかもしれない子達を……つぅくんも含めて殺さないといけなくなる。もし嫌なら……」
「……神琴さん……いや、覡操さんに、出来ない事は無いんですよね……?」
月くんはそう言ってじっと僕を見る。月くんを利用出来る安堵と共に、酷い罪悪感と鳥肌の立つような寒気に襲われる。
「そうですね。僕の復讐を叶えてくれた暁には月くんを殺してあげましょう」
僕と彼との契約条件。それは、僕は復讐を果たし、不運な幸運が起こり死ねない月くんを僕が殺す。養子縁組をしたのは都合が良かっただけ……それだけのはずでした。
多分、僕は月くんの成長を見ているうちにきっと……。僕は目的遂行の為に優しく苦しい感情をそっと胸の奥に隠す。
濁ったような灰色の空は白く冷たい雪を降らせていた。
最初のコメントを投稿しよう!