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「おはようございまーす(안녕하세요」
「おう!おはよう!」
僕の上司だ。五厘刈りに赤い蝶ネクタイ、そして顔には黒縁の丸いメガネ。
ちょっと小太りのソ・ハジュン(서하준)がお出迎えだ。いつも軽食を携帯していて、隙あらば何か食べるという、とにかく食べることが大好きな先輩である。
このていたらくって言ったらあれだけど、結構HYBE社内でも話題になるほどの「デジタル仕事人」で元企画部デジタル担当だったこともあり、マネージャー部でもその役割も継続して、アーティストの公式サイトや公式Youtubeなどの運営を行っているちょっと見た目からは想像できない、れっきとした「職人」だ。
「先輩、また、なんか食べてるんですか?」
半分呆れながら、道野が言う。
「だっておいしいんだもん・・・!」
片手でメロンパンを頬張りながら言う。
「あ、シーくんもいる?」
「シーくん」と言うのは僕のあだ名だ。なんかよく分からんがそう呼ばれている。
彼は会社の近くに最近できて、まあそこそこ話題のパン屋のメロンパンを僕に渡してきた。
「あっ…大丈夫ですー」
「ええー!美味しいのにー。」
ちょっと不機嫌そうに彼は言い、そのパンを自分のデスクに置いた。
そろそろ太陽も本格的に仕事を始める頃、長くサラサラとしたストレートヘアのイケてる女性が入ってきた。
「おはよう!みんな。」
「おはようございます!部長!」
ハジュンが牛みたいな声で言う。そして、
「部長!これあげます!」
といって、さっき僕に渡してきたメロンパンを差し出した。
「あっ、ハーくん。これ朝食べてきちゃったのよー。ごめんね。」
「部長もー?ぼ、僕のこと、嫌いとかじゃないですよね!?!?」
道野と僕の心が通じ合った。「こいつメンヘラか?」と。
「んな、わけないでしょ?そんな。ほら、早く仕事に戻って。」
彼は蟻みたいな小声で「メロンパンが可哀想…」といって、デスクに戻った。
ハジュンのせいで説明が遅れたが、この女性はSOURCEMUSICのマネージャー部部長のキム・ナヨン(김나영)。かれこれこの業界で20年以上の経歴があり、数々のアーティストのマネージャーや企画などに携わってきた、学歴もハンパない超エリート。みんなから慕われるまさに「ザ・部長」っていう感じのお方だ。
顔はというと、K-popアイドルのような「可愛い」顔立ちではなく、上品かつ綺麗「超有名女優」のような顔立ちをしている。
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