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クリスマスイブ
男の子の夢はサンタさんになることでした。赤いパジャマを着て去年買ってもらった赤い帽子を被り、クリスマスツリーから綿を分けてもらいサンタさんになりきっていました。街をお散歩しながらみんなの良いところを見つけて、少し早いクリスマスプレゼントとして庭に植えてあるポインセチアを渡していました。お母さんやお父さんにも。そんな様子をサンタさんはこっそり見ていました。
クリスマスイブの夜、鈴の音で男の子は目を覚ました。窓を見るとそこにはサンタさんが。
「プレゼントがたくさんあって、ひとりでは配れきれなくてね。手伝ってくれるかい?」
男の子は大喜びで赤い帽子を手に取りソリに乗り込みました。サンタさんと一緒にプレゼントを街中の子どもたちに配りました。男の子は幸せで胸がいっぱいでした。
クリスマスの朝、目を覚ますといつものようにベッドにいました。夢だったんだと残念そうにリビングに行くとプレゼントとお手紙が置いてありました。
〈お手伝いどうもありがとう。君のおかげでみんなにプレゼントを渡せたよ。いつかまた君がサンタクロースとして手伝ってくれる日を楽しみにしているよ。〉
プレゼントとお手紙を大切に抱きしめました。
それから長い時が過ぎたクリスマスイブの日。あの日のことはすっかり忘れて男の子はお父さんになっていました。大切な子のプレゼントをクリスマスツリーの下に置いた時、ふとあのクリスマスイブの夜の事を思い出しました。これから何度もこの子のサンタクロースになれると思うと温かい気持ちになりました。
鈴の音が聞こえ窓を見ると、。
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