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身体が繋がったまま指を絡ませて、何度も口づけを交わす。
こんなにも甘く蕩けるような時間になるなんて思わなかった。
まるで恋人同士のような一時に浸って、幸せを噛みしめる。
やがてゆっくりと彼の腰は揺れ、律動と共に再び強い快感が押し寄せた。
「おりはらさ……」
「あぁ……」
彼の控えめな喘ぎ声が耳に響いて、益々私の身体も熱くなる。
「あっ……ぁんっ……ぁんっ」
「気持ち……いいねっ……はっ」
二人の淫らな声と肌が当たる音が響く中、ひたすら腰を振ることに没頭する。
痛みはやがて極上の快感に変わって、気持ち良くて頭がおかしくなりそうだった。
「可愛い……好きだよ……」
奥を突く度に愛を囁かれ、切なさに涙が溢れる。
きっと彼は、彼女のことを思い出して行為に浸っているんだ。
そう思うと胸が張り裂けそうだった。
「好き……好きだよ……」
だけどそれでもかまわない。
少しでも彼の痛みが紛れるなら。
好き、と声を出しそうになる度に我慢して、代わりにうわごとのような嬌声を上げて誤魔化した。
今は寂しさよりも、彼に触れていられる幸福を噛みしめたい。
明日になったら、また遠い存在になってしまうから。
「好きだよ……美子……!」
彼が私の名前を呼んだ瞬間、これ以上ないくらいの刺激にぶるりと震え絶頂を迎える。
気持ち良くて気持ち良くて、何も考えられない。
同時に彼も一際甘い声を上げ、私のナカでビクビクと脈打った。
「美子……」
再び名前を呼ばれ、聞き間違いではなかったことを悟る。
じわじわと感動が込み上げて、静かに涙を流しまだ重なったままの彼をきつく抱き締めた。
朝が来なければいいのに。
そう願ったことなんて生まれて初めて。
喜びと切なさに胸が締めつけられ、このまま眠らずに幸福を噛みしめようと意気込むも、腕枕されて肌を優しく撫でてもらっているうちに微睡んでしまう。
「織原さん……」
彼の温もりに包まれながら、いつの間にか眠りについていた。
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