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数ヶ月後、そこに建っていたものは跡形もなくなり更地となった。隣の家と家の間に、ただポカンと空間がある。基礎も壊し、ただの土地になったこの場所にはもう、戻って来る者はいないのだ。その親戚も徐々に縁遠くなり、今はどこで何をしているのかも、わたしが見た光景が真実なのかもまったくわからないが、犬のうなり声に似たうめき声が聞こえてくると噂され、5年以上経った今でも買い手のつかない、未再生土地となっている。
そこには、どこから運ばれてきたのか、雑草の入り乱れる手つかずの土地から、花は白く美しいのに、血肉をむさぼるようないびつな形で黒と赤の実をつける『ヤマシャクヤク』が、今年も悠々と咲き誇っているのであった。
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