残 滓

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親戚の家が取り壊される。必要なものは持っていったから、あと残っているものは好きにしていいらしいと、先日親から唐突に伝えられた。 その親戚とは家も近く…いや近いなんてもんじゃない。同じ町内に住む伯父さん一家だった。幼いころはその家にもよく遊びに行って、親戚の兄ちゃんや姉ちゃんとも仲良くさせてもらったものだ。兄弟のいないわたしには、本当の兄や姉のような存在だった。 その兄たちは、今は都会でバリバリ働いている。片田舎で独り住む伯母を心配してそちらで一緒に住むという、まぁ、ありきたりの話だ。 生家であるこの家は、ただ税金がかかるだけの建造物。取り壊して駐車場にでもするような予定があるらしい。
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