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光の入らない窓
彼の部屋には窓があり、そこから入る光を浴びて彼の一日は始まった。くだらない一日も笑える一日も泣きたい一日も、明日には光を浴びてすべて何も無くなった。
彼はその部屋が好きだった。無機質な部屋にも光があるから問題なかった。
その部屋に泥棒が入ったようだ。彼が帰宅すると、扉の鍵が壊され、部屋が荒らされており、ほんの少しばかりしか無かった蓄えを奪われてしまった。それに飽き足らず、腹いせなのか窓も割られていた。彼は光一つない部屋で己の身の不遇さを泣いた。
それから暫くして彼は死んだ。部屋の中で起き上がれなくて死んだ。
壊されてしまった液晶ディスプレイはもう光を見せてくれることはなく、彼の夜が終わらなかった。
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