あのバスにのりたい

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 次の朝、あたしはまたその時間にその場所に並んだ。  どう。今日はちゃんと「せ・い・ふ・く」というのを着てるから大丈夫よね。  きのうね、おなじような色の服をおしいれから見つけたの。ちょっときつくなっちゃってるけど着られた。でもえりに線がなかったから、白いリボンをお母さんにくっつけてもらったんだ。 「ごめんね。君は乗せられないんだよ」  でもまた、運転手さんは笑ってことわってきた。  何でなんだろう。  亜紀ちゃんたちが帰ってくる時間に、あたしはじ~っとかんさつした。  ん。  そうだ。ぼうしじゃない?  みんな、せいふくとおんなじ色のぼうしをかぶっているじゃないの。 「ママ、あんなぼうし持ってない?」 「あらあら」  ママはあれとよくにた色のぼうしを出してくれた。  よおし。これならきっと明日はバスにのせてもらえるよね。  バスが行ってしまった。  ひとり立っているあたしの前に、ひゅるるる、と風が通りすぎていった。  何でわかっちゃったんだろう。まだ何かちがうのかな。  あたしはいっしょうけんめいかんがえた。  お。そうだ。わかった。ななめがけバッグ。あと、くつ!
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