あのバスにのりたい

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 次の朝、あたしはかんぺきなそうびで列にいた。白い線が入った青いせいふく、おなじ色のぼうし、そして、ななめがけのピンクのバッグに、青いうんどうぐつ。  これでみんなとおんなじ。あたしもこの幼稚園の子だって思われるはず。バスにのせてくれるはず。  幼稚園て、どんなところなんだろう。あのバスにのったらそこへ行けるんだ。わくわくしちゃう。  けど、あたしの前でドアがぴしゃんとしまった。  やっぱりバスにのせてもらえなかった。  どうして?  あたしの足は、そこからうごかなくなってしまって、すわっちゃった。  そうしたら、肩にそっと何かがさわった。ふりかえったら、亜紀ちゃんママの手だった。 「大丈夫よ。沙っちゃんの番もちゃんと来るから」  だって毎日並んでるのに。あたしの番、ぜんぜん来ないよ。
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