あのバスにのりたい

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 朝おきてすぐ、おはじきを箱に一個入れる。ぼそっという音の日も、かちゃんとぶつかる音がする日もある。毎日ちがっておもしろい。  ひまわりが咲いて、きのこのごはんがふえて、てぶくろをしなくちゃ外に出られなくなって。  そんななかで、ママは少しずつそろえてくれた。  あたしにピッタリのサイズのこい青のせいふく。えりにはぴかぴかの白い線。ぼうしは頭をぐるんと一周してリボンがとめてあるやつ。おんなじ色のうんどうぐつ。ピンクのななめがけバッグはあたしの好きなお花もようがついていて、ママが名前を書いてくれた。  そうしておはじきが全部箱にうつった。  お日さまがぴかぴかさすその朝、あたしはどきどきしながら列に並んだ。  運転手さんはあたしを見てまた笑った。でも今度は「ようこそ」と言ってくれた。わああ。  あたしははじめてバスのかいだんをのぼり、中へはいった。奥に亜紀ちゃんがいて、「おはよう沙っちゃん。となりにおいでよ」と言ってくれた。  うふふ。やっと本物の幼稚園の子になれたんだ、あたし。  幼稚園。どんなところなんだろう。わくわく。  あたしは亜紀ちゃんとおなじように、外のママとパパに窓から手をふった。
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