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情報など全くない中の、手探りの子育てだ。何を食べるのか、何を食べさせたらダメなのか。そもそも生後どれくらいなのか、何年で大人になるのか。言葉は通じるのか。いったい、どこから来たのか。
それでも妻は喜々としてその子の世話をした。まるで本当のわが子のように。
「この子が悪魔だっていいと思ってるの。でもきっと天使よ。ほらこんなきれいな目をして、嬉しそうにしっぽを振ってる。言葉だって、少しずつ理解しているみたいなの」
子供はレオと名付けた。普段はもちろんリビングで過ごすが、来客があるときは、ケージに入れて犬のふりをしてもらう。尖った耳と長いしっぽのお陰で、犬に見えなくもない。
最近、私が毎朝仕事に行くとき、ぱーぱと言いながら、細長い手を振ってくれる様になった。
人間が食べるものを好まないので、途方に暮れていたが、ある時期から自分で外に出て、木の実や小動物を捕食するようになった。頭の先から伸びる触手で、器用に捕まえる。
大きなイタチを捕まえてきた時は驚いたが、そのたくましさが嬉しくもあった。
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