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今、僕らはとても幸せなんだよ、K。
怪しい投資話など全く不要だし、そんな汚れたものを、この家に持ち込んでほしくもなかった。
ただ、子供の発育のためには、Kは良い訪問者だったのかもしれない。
触手に捕まったKは、ズルズルとケージに取り込まれ、今まさに、僕らの子供の一部になろうとしている。
「こういうのを、自然の摂理というのよね、きっと」
妻は食欲旺盛のレオに目を細め、ぽそりとささやいた。
「そうかもしれないね」
頷いてはみたものの、心配事がないわけでもない。
「この子、いい子に育つかな」
妻はにっこり微笑んだ。
「もちろんよ。私たちの子だもの」
(了)
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