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私はマネージャーの坂本さんに呼び出されて事務所で話をしていた。女優オーディションに受かって数ヶ月後のことだった。
「恵ちゃん。SNSで人を罵倒するようなことはやめてください」
「私、そんなことしてません。これでも人気アイドルですから」
坂本さんはいつも優しいのに、私の瞳をじっと見つめて溜め息を洩らした。
「でもSNSのアカウントが恵ちゃんよ。これはどう説明するの?」
坂本さんからスマホを渡されてその画面を覗き込んだ。
そこには確かに私のアカウントで人をこっぴどく罵倒する言葉が書かれてあった。
「えっ、何これ?! 本当に私のアカウントですね。でも、これは私の偽物です。私、本当に人を罵倒したりなんかしませんよ」
坂本さんはその言葉を聞いて、しばらく無言になった。
重苦しい沈黙の後で坂本さんが口を開いた。
「どうやらアカウントを乗っ取られたようね。SNSの事務局に問い合わせしましょう」
「信じてくれてありがとうございます。坂本さん、これからも宜しくお願い致します」
事務局に問い合わせた結果、意外な事実が判明した。先日行われたオーディションで私に敗れた女が私を貶めるためにアカウントを乗っ取っていた。
私は人気アイドルとして生きていく中で、いろんな人から攻撃されるのを覚悟していた。でも何があっても私を応援してくれるファンがいる限り、私はその歩みをやめない。
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