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藍と哀を混ぜて 羞恥少々 惨めさ小さじ1 屈辱大さじ10 できた料理は空虚と絶望の味がした 窓の無い地下牢 黒い縁取りのされた紅い襖を じっと睨んだ 嬌声が聴こえる ギャハハと下品に笑う声 人数は6、7人か リーダーはアイツだ 財津凛太郎 大学でも徒党を組んで 悪さばかりしている その 悪い男に目をつけられた 大学の帰り 黒塗りの車で攫われて この地下牢に繋がれた 沢山の屈辱を味わって 男の自分は 男を喜ばせるイロハを叩き込まれた つまりここはそういうところ 男娼を売る娼館 俺は今 白粉を塗られて 唇と目尻に朱を引かれて 髪には赤い花飾り 素肌には同じく 赤い襦袢を着せられていた 美しい所作も覚えさせられて 本当に女にでもなった気分だった 惨めで、屈辱で、 何度命を断とうと思ったことか けれど いつか気づいた 従順にしていた方が 都合がいいと 殴られないから? 違う 諦めてしまったから? 違う 油断させるためだ 普段は鬼のように怖い女将も どうだ 今では俺のおべっかを本気にして 油断して、心を許して なんでも話してくれる 憎いアイツがいつくるか そして 今日は 生毛を剃りたいと言ったら カミソリを渡してくれた 小さな刃物を両手で恭しくうけとって さあ! 好機だ!! アイツが俺に全裸でのしかかってきたら 首に手を回すふりで カミソリを煌めかす 畳の上に飛び散る赤 確実に、殺す たん、たん、 アイツの 奴らの 足音がちかづいてきた 俺はすっと目を細め 襖が開かれるのを待った 襖が開いて アイツは 「来てやったぞ、春歌(ハルカ)」 吹き出物だらけの醜い赤ら顔 俺は わっちは 正座して伏せていた顔を上げ 晴れやかに笑った 「いらっしゃいませ 今日は、全員で、とことんまで わっちを可愛がっておくんなまし」 三日月型に、にぃ、と唇を吊り上げて 味のしない料理には オマエの血を全部 命ひとつ もらって ずらかり はい オサラバ ここでの記憶は 『夢現』という料理に仕上げて まずは 鬼退治 サラバ、赤鬼 紅(クレナイ)の男娼は 俯くそぶりで そっとほくそ笑むのだった END
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