プロローグ

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プロローグ

『少数精鋭でやってるので激務になりますが宜しいですか?』 ゲーム業界の新星“BlueBird” 京大出身の元人気Vチューバー、桐嶋蓮翔が起業したゲーム開発会社。 初リリースしたアプリゲームが半年でトップに君臨し、国内だけでなく世界でもヒットを飛ばしている。 『はい。精一杯頑張らせて頂きます!!』 私が描く絵が社長が描く絵に近いからとスカウトされ、働き始めて3年。 「……眠たい。だけど、寝たら駄目?来週のアプデに間に合わない」 在宅勤務だから通勤時間は無し。 終電を気にしないで済むから完成するまで働かされる。 「激務と言われたけど激務過ぎるわ!!」 人気アプリゲーム“モンスタークエスト”のストーリー追加によるアプデで、アニメーションムービーを制作する私は月1で3徹してる。 「終了、……やっと寝られる!!」 新卒で月給48万円に月80時間の残業代が貰える会社はなかなかないが、残業するのが当たり前のこの会社にプライベートな時間はなく、社畜な生活にうんざりしてる。 開発中の新作ゲームのアニメーションムービーをコツコツ仕上げつつ、毎日15枚キャラデザインの試案を描いて社長に提出する日常業務。 日常の勤務時間は、午前7時半始業からの午後23時終業。 アプデ前じゃなくても激務だ。 入社した事を酷く後悔してる。 「また振られちゃった。仕方がないよね、会う時間がないんだから……」 友達に紹介して貰って付き合い始めた男性と1ヶ月も続かない。 婚期が遠のく。 好きな仕事だけどプライベートな時間が取れない事に不満を感じ、退職する事に決めた。
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