退職届 side 桐嶋蓮翔

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「ありがとうございます!!」 相当嬉しかったのか、ガッツポーズをして満面の笑みを浮かべた杉原美織。 芸術・美術・デザイン・映像が学べる通信制大学とアニメーション専門学校をダブルスクールで卒業予定の彼女は、引きこもり気質なオタク気質な雰囲気を醸し出しているが好印象だった。 「杉原さんが今まで描き溜めたキャラクターデザインがありましたら見せていただけますか?」 「はい。今までに描き溜めたキャラクターデザインです。後、オリジナルアニメも制作したので見ていただけたら嬉しいです」 差し出された5つのUSBメモリ。 高校生の頃から書き溜めた248のオリジナルキャラクターは少し手を加えたら起用できるデザインだった。 オリジナルアニメーションの構成もしっかりしていて、即戦力として仕事を任す事ができると判断できた。 彼女のおかげで“モンクエ”の新キャラとイベントストーリー追加のアップデートを早急に行う事ができた。 「美織のおかげで“モンクエ”のブームが再来した。ありがとう」 5歳年下の妹みたいに可愛い存在の美織。 「美織、仕事に集中して取り組んで欲しいからオフィスビルの側にある借り上げマンションに引越してきてそこで在宅勤務してくれる?」 素直で真面目な美織。 大学卒業後、正式に“BlueBird”のキャラクターデザインとアニメーション制作担当者に就任した美織は早朝から深夜までよく働いてくれた。 かなり負荷率が高い仕事なのに文句ひとつ言わずに取り組んでくれていた。
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