優しさと良心

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 なんと彼女は光の国のソーシャルに、#魔王 #混乱魔法 #操られていた #魔法は解いた #安全 と打ち込んだ。  魔界の王である魔王は、誕生して間もなく混乱魔法により操られ、戦いを余儀なくされた被害者だ。私がその魔法を解き放ち、魔界から無事救出した。  私と共にパーティを組んでいた勇者と黒魔道士は、王および姫を欺き良からぬ関係を持っていた事は事実であって、今この地にいる魔王は何一つ嘘はついていない。安全かつ信頼のおける者としてしっかりアピールしてくれた。  今この地で彼女はスーパースターで最も信用のある人物。彼女がポストした内容は、この国の誰もが信用する。その内容がたとえ嘘だとしても。 「お前、何で……」 「ま、あんたが良い奴って事は充分に分かったし、わざわざ貰ってもらわなくても良くなったしね。頑張って姫と幸せになりなさいよっ」 「お前……」  今の彼女であれば、町を歩くだけで男が寄ってくる。なんせスーパースターだ。交際を申し込んでくる男で溢れかえるだろう。俺に頼る必要の無くなった彼女は、あんたはあんたの幸せのために生きて行きなさいと俺を解放した。  まぁ、やり手というのか性格の悪さは否めないが結果オーライ。俺は堂々と洞窟を出て姫の元に向かった。
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