魔導士の求婚

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「はぁ疲れた、なんだあの女」  戦ってもいないのに、随分とHPが減っている。あの魔導士、要注意だな。気をつけておかなければ。 「それにしても……静かだな」  勇者パーティがラストダンジョンに来る気配もなし、手下のモンスターは俺に気を遣って常に静かにしているし、回復の泉の女神にでも話し相手になってもらおうか。 「悩める勇者達よ、ここで回復して行くと良い」 「いや、この間も言ったが俺は勇者ではない。そろそろ覚えてくれないか」 「勇者では無いのですね。ではお帰りください」 「いや、俺はここの主で」 「勇者様御一行専用の泉でございます」 「……」  やはり今日も駄目だった。何度話し相手になって貰おうと出向いても、会話にすらならない。おかしくないか? そもそもここは俺の自宅であり魔界のラストダンジョンだ。何故勇者パーティ用の癒しの施設を用意してやらんといかんのだ。奴らが入れて俺が入れない意味が分からないだろう。 「あぁ、つまらない。誰か来てくれ」  とりあえず、俺は魔界ソーシャルを操り、匂わせ行動に出る事にした。♯光の国 ♯お姫様。これで良し。光の国では俺の様子をこのソーシャルを通してこっそり確認している事くらい知っている。 「……あぁ静かだ。早く魔界ソーシャルに誰か反応してくれ」  さっきの魔導士の女がうるさかったからか、この静寂がやたらと寂しく感じてしまう。 「もう少しだけ話しを聞いてやっておいても良かったのか。いや、あいつは俺以上に魔王の気質があるし危険極まりない。ん? そ、そうか‼︎‼︎ その手があったか‼︎‼︎」  名案を思いついた。  俺は再度魔界ソーシャルを立ち上げると、早速あの魔導士を晒す事にした。
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