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勇者は姫がいながら平気で浮気をするような利己的な男だ。上手くやっていたはずなのに、その事実を俺と真魔王のどちらにも知られていたとは思いもしなかったのだろう。つまり、一級勇者の資格を一発で剥奪される程の弱みを握られているという事だ。
真魔王いわく、俺たちは勇者にとってタダの邪魔者であり、サッサと消えて欲しい存在でしかない。
「だから守ってくれないのか……」
「そうよ、目を覚ましなさい。私と決戦になれば真っ先にHPを削られるのはあんただからね。それをこのポンコツ勇者と浮気相手はよ〜〜く分かってるわけ」
「そうなのかエルダー……」
「うっ……いや、そのぉ」
マジかこの勇者、本物のクズじゃないか。
「こんな奴に人生台無しにされたくないでしょ? ここは私と手を組みましょうよ。あんたの大好きな姫を騙しているような奴が英雄扱いされるなんて、そんなの許せる?」
ここで一気に火がついた。姫を蔑ろにする奴など許せない。俺が真の勇者として姫を一生守り通す。それこそが世界平和じゃないか。
俺は真魔王と共に力を合わせる事を決め、ポンコツ勇者とその愛人をあっという間に葬った。
「ねぇ、騙されずに済んだのは私のおかげよ。ちょっと魔界ソーシャル操って、私の事、事実無根だって書いておいてよ」
この女、魔界での婚活にも失敗したもので後がない。なんとかイメージを回復させ元の世界に帰りたいと言い出した。
「お前もあの勇者達と何ら変わらずポンコツだ‼︎‼︎ その性格の悪さを魔界でしっかり冷やしておけ‼︎‼︎」
俺はピシャリと喝を入れると、リターン魔法でダンジョンを出た後、光の国へと向かった。勿論、魔界ソーシャルで#魔王は勇者 #魔王 #光の国の救世主 というタグをつけて。
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