心機一転

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心機一転

 なんて美しい世界なんだ。一度だけコソッと出向いた事はあるが、やはりこの青い空、青い海、そして光り輝く太陽は素晴らしい。魔界は常に薄暗く、そしてどんよりとしているもので、独りでいると本当に気が滅入ってしまうんだ。  稀に勇者が辿り着くものの、結局話し相手になってくれるわけでもなく戦闘に陥ってしまう。魔界での生活はただただ虚しいものだった。  でも、もうそんな虚しい日々を送る必要は無い。俺はこの素晴らしい光に人生を照らして貰いながら愛に溢れた生活を送るんだ。 「待っていてくれディアナ姫。俺が君を幸せにする‼︎‼︎」  それにしても腹が減った。最寄りの町で休んでいこう。そう思って立ち寄るも、人っこ一人いない。武器屋に薬屋、花屋に宿屋、人の集まりそうなパブも訪れてみたが、全てCLOSEだ。丁寧にノックをして声を掛けてみたが、やはり誰も反応しない。  仕方なく他の町まで出向いたが、先程の町と全く同じ状況で、誰にも出くわさない。過疎化が深刻なのかもしれないと、都会の方まで出てみたものの、やはり状況は何も変わらなかった。  町もダメ、海もダメ、山もダメ、残すはディアナ姫のいる城のみだ。 「ん⁉︎ 何だっ‼︎⁉︎」  城の方から大砲の弾が飛んでくる。何度軌道を変えて飛んでみても、次々と弾が俺の側を通り過ぎて行く。 「俺、狙われてるのか⁉︎」  おかしい。魔界ソーシャルでちゃんと呟いたのに、何故俺が狙われないといけないのか。俺は愚かなポンコツから姫を守ったというのに。  納得がいかない。俺は上手く弾を避け切ると、城の最上階まで飛び上がり上手く入り込んだ。
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