私と、君

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私と、君

 吸い寄せられるようだった。  私が友喜(ゆうき)を知ったのは、高校二年の秋の夕暮れだった。  十一月の終わり、冷たさが潜む風が気持ちいい。部活に行っていなかった私は、色々な委員会に参加していて、ちょうどメインイベントだった文化祭が終わってホッとしていた。先週の金曜、土曜はとても忙しくて楽しいどころではなかったけど、委員仲間やクラスのみんな、中学校からの友達、みんなと写真を撮って、交換して。  空を見上げると、もう夕闇が覆い始めている。  期末テストが明日から始まる。それが終われば、本格的な受験シーズンに入るのだ。でもこれまで勉強してきたし、期末の成績次第では東京の大学も狙える。それとも学部であれば、東北だろうか。  これからの戦いを思うと、身体が少し熱くなる。ぎゅっと手を握り込んで、はぁっと空中に吐息と一緒に熱を吐きだした。煙の矢のような吐息が、遠く夕闇に向かって飛んで行った。  校門をくぐろうかという時、ふと後ろを振り向くと、彼が私を見ていた。  別にその時は何でもないし、何も起こらなった。  彼は背が高く、真っすぐの黒髪を短く切りそろえていた。子犬のような、きらきらした眼差し。すぐ目を逸らされたので、その時は私も何とも思わなかったんだ。  でも、彼の目に吸い寄せられたような気がした。そう、そう感じた。  
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