Nine:🐜🐜🐜🐜🐜🐜🐜🐜🐜

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とりあえず湯船の栓を抜き、お湯が出るかを確かめてみる。やたらヘアケア用品は揃っているのに、洗面器がない。もちろん椅子もない。洗面器がないとお湯が貯められるものがない……。 タオルだけお湯で絞ればいいかと、肩でため息を吐く。 ふと、湯船が抜かれた浴槽の中を見れば、水浸しになっているスマホを見つけた。 「(は……嘘でしょ……。。)」 すでに画面は真っ暗になっている。電源を長押ししても反応せず、もうすでに壊れてしまっているらしい。 ―――そういえば。 キラ君が自称メンタルエースからの鬼電が凄くて、ホス用のスマホをお風呂に沈めたと言っていたのを思い出す。 ……絶対に嘘だと思っていたのに。事実だったことが唐突に証明されて、軽いショックを受けてしまった。 私が旭陽と会った日。旭陽に間接的にフラレた日。   お客さんからの連絡を投げ捨ててまで、あの時キラ君は私を迎えに来たというのだろうか。 限度額を引き上げた理由も、もし私のためだとしたなら。 自己証明を提出して承認を待って。私はキラ君にとってそこまでされるほどの何かをしたというのか。 やり方は何一つ正しいものとはいえない。スマホをお風呂に沈めたり、送付限度額を上げたり。ちょっとずれているというか、極端というか、行き過ぎている気もする。 「(あ、でも私だって305万払って処女卒業したんだよな。)」 自分もおかしいけれど、キラ君は相当おかしい?  
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