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「……これ。湯船の中に落ちてたよ。電化製品を水につけておくのはよくない。感電したらどうするの。」
無反応のスマホとキラ君。
じっと、スマホではなく私を見つめている姿は、叱られている子どものようにも感じる。
「そのスマホ、ホス用なんだよね?なんでそんなことしたの?」
「…………」
「お客さんは超大事なんじゃないの?『俺の唇は俺に貢ぐ女のためにある』とかなんとか言ってたじゃん。」
「…………」
「このシャツだって、そのベルトだってジャケットだって、あ、あのピンクの入浴剤だってさ、どうせ全部“磨白”さんとかからのプレゼントなんでしょ?」
「……エスパーなの?」
「いや分かるでしょ!人に磨白さんとのライン見せておいて何いってんの!」
あのライン画面、流れるような速度でスクロールさせてもらったんだから分かるって。
%color:#bdbdbd|〈キラに似合いそうなスーツ、買っちゃったの。ブランドものだから楽しみにしててね。〉
磨白さんとのやり取りには、お客さんを引き止めるために悪魔の囁きを送信するホストと、キラ君の気を必死に引こうとする磨白さんとの攻防が見て取れた。
流しながら見た割に、ちゃんとメッセージを覚えている自分が嫌になる。
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