それぞれの出立(1)

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それぞれの出立(1)

「……ッ……んッ……ぁ?? ……!???」 「……おはよう」  ベッドの横にあるイスにはユーディットが座っていた。  首を動かしたジークは、ぼんやりしたまま口を開いた。 「……ユー……?」 「……そうよ、ジークくん……」  ジークの手を握ったままのユーディットは笑みを浮かべた。 「……ぼくは……?」  不思議そうなジークへユーディットが答えた。 「悪魔から攻撃を受けて、ジークくんは気絶してしまったの」 ジーク「……きぜつ……!?」 ユーディット「……悪魔の援兵(えんぺい)はジークくんの隣にいたレナちゃんを狙ってきた。あなたは彼女を突き倒して、レナちゃんを救った。……その代わり、ジークくんは悪魔の攻撃をそのまま受けたのよ」 「……ん……なら……ぼくは……。……あの……悪魔は……どうなったの……?」  考えつつ、言葉を連ねたジークが聞いた。 「わたしが、倒したわ」  ユーディットはさらりと答えた。  それを聞いたジークはほっとした。 「……そうか。……滅ぼせたなら……いいや……」 ユーディット「…………」 ジーク「……二人で協力して、戦えたんだね」 ユーディット「……レナちゃんはわたしが必要だから……」 ジーク「……わかってる……」 ユーディット「……彼女、寝てるジークくんを何度も見に来てたわ」 ジーク「!? え? ……レナが来てたの?」 ユーディット「……このまま、目が覚めなかったら、どうしようって……泣きそうになっていた……」 ジーク「……ふっ、ふふふ……レナがそんなこと、いうわけ……」 ユーディット「……少し前にもここへ来た。心配そうにジークくんを見て、あなたの(ひたい)をなでていた」 ジーク「…………。本当に? 誰かに……ここ、触られていた気がした……それが……レナ……だったってこと?」 ユーディット「ええ。……わたしがここにいるのは、迷惑そうだったわねぇ」 ジーク「…………」 ユーディット「わたしはこの()で、ジークくんが無事だと見通せるけれど、レナちゃんは気が気ではない。……大切な相手が危ない、となると……居ても立っても居られなくなるらしいわ、あの小娘」 ジーク「……ぼくは……」 ユーディット「……?」 ジーク「いま……目が覚めたとき……最初に見たのが、ユーで嬉しかったよ……」 ユーディット「……」 ジーク「……ユーの顔を見ると……安心できて、落ち着くんだ」 ユーディット「……」 ジーク「……前から、なんだけど……それでね、ユー……あ、あれ? ……顔が赤いよ……!?」 ユーディット「…………」 ジーク「……ねぇ、どうしたの……?」 ユーディット「…………」 ジーク「……」 ユーディット「……愛しているわ……ジークくん」 ジーク「……ん、うん……ぷっ、ふ、ふふふふ、ふふふふ……」 ユーディット「……」 「ふふふふ……か、可愛いな、ユー……」  もじもじしているユーディットにジークは笑顔をつくった。
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