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私は聞き返した。
「ここまで育てたのに?」
彼は言った。
「仕方ない。私の育て方が間違っていた」
「しかし」
彼は厳しい顔を私に向ける。
「もう決めたことだ。何も苦しめるつもりではない。一瞬のことだ。痛みもないだろう」
私はもう何も言わなかった。
ただ、美しく青い星を失うことが惜しかった。
しかし、彼の言う通り仕方がないのだろう。
それを支配する者が醜くなり過ぎたのだから。
去っていく彼の背を見送って、私は手を下した。
彼の名?
それは恐れ多くて、口に出すことはできない。
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