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10 絶体絶命!?
デルマークさんは言った。
「そんな!?
あなたが何をしたって言うんですか!?」
「ワシね、調合のスキルを持っててね。
ガルドはその頃、薬草で一儲けしたかったからの。
ワシの存在が邪魔じゃったわけ。
でぇ、スキル違反とかいう訳の分からん理由を付けて牢屋行きじゃよ。」
デルマークさんは白い髭を撫でながら言う。
「そんな…!?
それで、10年も…」
俺は返す言葉が見つからなかった。
「まぁ、よろしくね。」
「あ、よろしくお願い…
じゃなくて!
俺はこんなところに10年も居るの嫌ですよ!
そうだ!
一緒にここから出る方法を考えましょう!?」
「むだー、むだ。
ここに入ったら出られんのじゃよ。」
デルマークさんは諦めたようにそう言った。
♦︎♦︎♦︎
それから、三日間、俺は成すすべなく牢屋で過ごしていた。
叫んでも、牢屋の鉄格子をゆすっても、だーれも来ない。
「だから、無駄じゃって…」
デルマークさんは言うが、俺は諦めることは出来なかった。
そんな日が1週間続き、もう無理かな…と、思い始めた頃、俺は牢番に呼ばれて釈放される事になった。
町役場からフラフラと出ると、そこにはシャロンと村の人たちの姿があった。
「シャロン、これは…?」
「エイスケさん…
町のみなさんが…
エイスケさんの解放を求めてガルドさんの商売の不買運動をしてくれたんですよ…」
シャロンが涙を溜めて言う。
「そう…なんですか…?」
「エイスケさんはいい人だ!」
「そうだ!
俺たちの畑を耕してくれた!」
「ガルドの言う通りにはならないわ!」
「エイスケさん、おかえりなさい!」
村の人たちは口々にそう言い、暖かい拍手が巻き起こった。
俺は、ずっと、ずっと、村の人たちに頭を下げていた。
♦︎♦︎♦︎
その後、シャロン宅に戻り、風呂に入った俺はシャロンに話しかけた。
「シャロン、今いくらお金貯まってる?」
「え、えぇ、5万ゴールドほどありますけど…」
「それ、俺に預けてくれないかな?
必ず返すから!」
「もちろん、エイスケさんのお陰で稼いだお金ですから、好きに使ってください!
でも、一体何に…?」
「まぁ、ちょっとね。」
そして、俺はある家を訪ねた。
それは、副町長のゼガさんの家だった。
「何だい?
エイスケさん?
私は君とはあまり関わりたく無いんだが…」
ゼガさんはそう言った。
「ゼガさん、あなたこそこの村の人の幸せを真に願っている人だ。
なのに、ガルドみたいな奴が町長として好き勝手やってる。
これは、あまりにも理不尽だと思いませんか?」
「…何が言いたいんだ?」
「ガルドをリコールしてください。」
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