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6 じゃがいも豊作
じゃがいもは食べきれないくらい沢山採れた。
「わぁ!
こんなに沢山じゃがいもが!
これで、1ヶ月は食べるのに困りませんね!」
「うん…
だけどさ、これを俺たちだけで食べるのは村の人たちに悪い気がして…
そうだ!
残ったじゃがいもは、ふかして村の人たちに配ろうよ!」
俺は言う。
「エイスケさん…
優しいんですね…
ぜひ、そうしましょう!
の前に、私たちで食べませんか?」
「あぁ、そうだな!笑」
そうして、ナタリーさんを起こして3人でふかし芋を食べた。
じゃがいもはしゃくしゃくしてて、中があったかくて、甘くて、塩が効いてて、とても美味しかった。
そして、俺たちは手分けしてじゃがいもを用意して、村の人たちに声をかけた。
「何だぁ?
貧乏人のシャロンが、芋配ってるらしいぞ?」
「そんなバカな!」
「だってあのシャロンでしょう?」
「でも、いい匂いがするわ!」
村の人たちは最初は怪訝そうにしていたが、段々と集まってきた。
「どうぞ!
沢山ありますから!」
俺は笑顔で配っていく。
「本当に、あなた達が作ったの…?」
不思議そうに尋ねる女性に俺は言った。
「もちろんです!
あ、塩もありますよ!
かけると尚美味しいですよ!」
「皆さんへの今までの恩返しなので、沢山食べてくださーい!」
シャロンがかまどから顔を出して言う。
「ありがとてぇ…」
「持って帰って子供にあげるのよ。」
「俺はじぃちゃんに!」
「こりゃあ旨い!」
「太ったじゃがいもだぁ!」
そして、じゃがいもはあっという間に無くなった。
「ははは!
また、明日じゃがいもを植えなくちゃな!」
俺は満足気に笑ってそう言った。
「えぇ!
本当にありがとうございます!
エイスケさん!」
♦︎♦︎♦︎
次の日、畑に行くと、眼光鋭い男がシャロンの畑の側に立っていた。
「ふん!
貧乏人のシャロンが!
いくらお前が頑張ったところで、何も変わらんのだ!」
そう言ってその男は畑に唾を吐いた。
「何するんですか…!?」
「エイスケさん!
良いんです!」
「でも…!」
「あの人はこの町の町長で、ガルドさんと言います。
もし、機嫌を損ねたら酷いことになりますから。
逆らわない方がいいんです。」
シャロンは小声で俺にそう言った。
「うーん…
まぁ、いいや!
とりあえず耕すから、じゃがいもの種蒔いてって、シャロン。」
俺は納得いかない気持ちを抱えたまま畑を耕した。
その日、相変わらずコカトリスの塩焼きと野菜スープ、パンを食べた。
コカトリスはやはり美味しいけれど、もう残り少しだ。
そろそろ、稼がなきゃならない。
そんな事を思いながらその日も眠りについた。
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