大人になれたと気づけた日

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　私はいまの私は、何も持っていないんだなと思っていた。
　東京から持ち帰ったのは大量の服と本ぐらいで、就職も決まらず、何もないんだなと思っていた。

　でも、私はこの町で育てられ、いまは新しい世代に自分がやってきたことを伝えることができた。この町で育っていなければできなかったことだ。

　何百年も受け継がれてきた伝統の踊りをこの町の大人が、この町の子供に教えていく。そして、また次の世代へと繋がっていく。この町の「育てる」サイクルはこれからも続いていくんだろう。

　この流れに私も幼い頃入っていたけれど、大人になった私も入ることができたんだなって思った。

　あーみんたちと来年も講師をしたいと思った私は、この町で暮らしながら働くことのできる仕事を探すことにした。