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そんなカイルに変化があったのは、ヴァレリーがプライマリースクール(小学校)を卒業する前だった。
明らかに顔色が悪く、仕事を休む日が多くなった。食事のあとに薬を飲む量が増え、ほとんど無表情で家族と顔を合わせたがらない。一日中、部屋から出てこないこともあった。
やがてカイルは身の回りの品を少しだけ持って、忽然と姿を消した。死を選んだものと思い、母と一緒に必死になって探した。しかし一年が過ぎ、二年が経ったが、カイルの足取りを掴むことはできなかった。
やがて司法の判決で離婚した母は、今の継父と再婚した。弟妹が増えてからも、継父はヴァレリーに変わらぬ愛を注いでくれた。だからカイルを慕うのが申し訳なくて、スケッチブックと共に思い出をしまい込んだのだった。
ヴァレリーはニュースキャスターの道を選んで、追い詰められた父の気持ちを知った。
報道に終わりはなく、ジャーナリストは事件を追うごとに矛盾や残酷さを突き付けられる。そんな社会の現実ですり減らした心が、いつの間にか闇の深淵を覗いていたに違いない。
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