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「本当にブラッドが父さんなの? もうあの頃に戻るには、時が経ちすぎてしまったけれど……会いたい。何を思い生きて来たのか、聞きたい」
ヴァレリーはここにいないカイルに語りかけた。
テレビやインターネットを通じて、娘の近況を父が知っているかもしれない。それでも会いに来ないのは、もう家族として終わったという事だろうか?
気が付くと、時計の針が随分動いていた。子供たちは遊び疲れたのだろうか。ヴァレリーがスケッチブックを置いて、階下に降りる。
すると、珍しくアツシの叱る声がした。その前で、息子のセオドアと娘のエラがしょんぼりしている。
「全く、君たちが遊びの開発に夢中なのは分かったが、これほどとは知らなかったよ!」
「どうしたの、アツシ」
「見てくれよヴァレリー、掃除したばかりの床が一瞬で花畑に変わっちまった。うちの子には、奇術師もびっくりだ」
頭を抱えたアツシは、キッチンを指さした。
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