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出かける前、料理研究家の夫がこの市長を「痩せた赤いパプリカ」と評したのを思い出す。確かに、実物はレッドペッパー(唐辛子)みたいに少々厄介な相手である。
うっかり流されないようにしなくては。ヴァレリーの止まっていた指が、冊子のページをめくっていく。
作風も様々だ。陰のある写実的な絵から、子供が書いたようなグラフィティまで、社会に収まりきらない個性が溢れ出したかのようだ。絵を描きたいなら紙やキャンバスでもいい。なのに、犯罪になりかねないアートを、夜中にひっそり書くのはどういう心境なのだろう。
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