ヘンゼルとグレーテルと豆苗

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わたしは、グレーテル。 両親が死んでしまってお兄ちゃんのヘンゼルと途方に暮れていたけれど、親戚のおばさんが引き取ってくれたの。お兄ちゃんはすぐ出稼ぎに出たから、今はわたしとおばさんの二人暮らし。 親戚のおばさんはとてもかわいいお菓子の家に住んでいるの。だけど、お菓子ばかり食べていては体によくないから、豆苗を育てたんだ。 「おばさん、今日のおかずは豆苗の卵とじよ」 おばさんは、食卓を見てとても喜んだ。 「まあ、ありがとう。嬉しいわ。グレーテル」 こんなふうに、平和に暮らしていたの。だけど…… 「馬鹿だなあ、あのおばさんはお前を殺すつもりだぞ」 ある日、窓辺にいたカラスが言った。 「どういうこと?」 「あのばばあはお前の親戚なんかじゃないよ。お前を利用するために育てているのさ。ちなみにヘンゼルはもう死んでるよ」 「なんですって!? 利用って!? 何に利用するっているの!?」 「それは教えない」 「そんな、ヘンゼルが死んでるとか、おばさんがわたしを利用してるなんて、嘘よ」
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