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あたしの恋人は、飲み屋で働いている。忙しい彼は、勤め先のお店でしか会ってくれない。
「久しぶりだね。なんかちょー綺麗になってない!?」
彼はあたしを見て嬉しそうに言った。
「あなたのために努力したのよ」
「嬉しいな。じゃあ、綺麗になった君に乾杯ってことで!」
「ええ、お酒を頼みましょう」
店を出てご機嫌に街を歩いていると、
「馬鹿だなあ、このホスト狂いが」
街のゴミを漁っていたカラスが突然罵倒してきた。
「何よ、彼は確かにホストだけど、あたしの恋人でもあるのよ。今度は外でデートする約束もしてるし」
「馬鹿だなあ、それは『育て』って言うんだよ! お前がさらにお金を落とすように、育ててるんだよ!」
「なんですって!?」
「若返ったのが仇になったな。そのうち売春するよう勧められるよ」
「彼はそんなことしないわ!」
しばらくは彼と恋人のように過ごした。しかし……
「ごめんなさい、もうお金がなくなってきてて……」
ヘンゼルとグレーテルを引き取ったとき、ヘンゼルの方はすぐに奴隷として売り飛ばして大金を得た。(その後、ヘンゼルはマグロ漁船に乗せられてこき使われたのち死んだとカラスから聞いたが)そのお金ももう尽きかけている。
「そっか……じゃあ……」
そう言って彼はあたしに売春を勧めた。
「君なら綺麗だしどのお店でもNo.1になれるよ」
「そんな、そんなことのために綺麗になったわけじゃないわ!」
ショックで呆然と街を歩いていると、
「やーい、やーい、やっぱり『育て』だっただろう」
カラスがまた言ってきた。
「そうね……う、お腹が……」
「つわり? もしかしてホストとの子供とか?」
カラスが尋ねた。
「そうよ」
「ホストとの子供だって!? 下手に若返ったばかりにお笑い草だな!」
「仕方ないじゃない! あの人と結婚するつもりだったんだもの! 今のあたしと彼の子供なら絶対かわいいわ。一人でも産むんだから」
「魔女とろくでもないホストの子供だぞ、悪魔のような子かも知れないぞ」
「うるさい」
あたしは元々住んでいたお菓子の家に戻り、ひっそり出産した。
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