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【少年時代】
ショッピングモールのイタリアンレストランで食事中も、食後のお茶を飲みながらも、懐かしいママ友達の話題が尽きることはなかった。
「りっ君さ、中学の時大変そうだったじゃん?」
「あー、中学は結局ほとんど行かなかったんだ。私も仕事辞めちゃったし。あの頃はもう地獄みたいだった」
「だろうねぇ。うちの近所にもそういう子、何人かいるよ。みんなお母さんも青白い顔して、ホント、大変そう」
「無理やり引きずって 学校に連れてっても、逆効果なんだよね。結局最後まで何が原因だったのかなんて、わかんなかったよ」
「今はもう良くなったの?」
「うん、高校はフリースクールに行かせたんだけど、それが良かったらしくって、まるっきり楽しそうだった。部活とか、生徒会とか、めちゃめちゃ 張り切ってやってた」
「わぁ、それは良かったね。お疲れ様だったね」
「ありがとうね。今は何とか 普通に大学に行って、アルバイトなんかもしながら普通に大学生してるわ」
「そっか…いいねぇ……」
「え?いいねって…翔君はすごい立派な名門大学に行ってたじゃない?」
翔君は、小学校の頃から習い事やスポーツをいろいろやっていた。
低学年の頃はスイミング教室と、公文教室、それに英会話にも通っていた。4年生からはいわゆる進学塾に行くようになった。
学校の成績ももちろん良かったし、スポーツもよくできて、女の子たちにも人気だった。
忙しくなった翔君は、りっ君と遊べる時間はとても少なくなった。
でも2人は仲が良かった。
「俺たち親友 だもんな」よくそう言っていた。
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