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【再会】
夕暮れの改札を出ると、向かいの ショッピングモールのネオンがキラキラと輝いていた。
もうクリスマスを迎える準備が始まっているのだ。
今日の夕食は私1人だから、惣菜でも買って帰ろうかな。
小山真美子はそんなことを思いながら、サラリーマンや学生たちの流れに混じって、ショッピングセンターの方に歩いていた。
「りっ君ママ!」
突然 呼びかけられた。
りっ君ママなんて呼びかけられるのは、ものすごく久しぶりだ。
振り向くと懐かしい 顔があった。
「わあ!翔君ママ!久しぶり!」
「あはっ!よかった 人違いじゃなかったよね!」
「いつぶりだろうね!元気だった?」
「うーん、元気っちゃあ元気だけどさ、もう 更年期障害真っ只中 って感じよ」
「あ、言えてる、言えてる!私も同じだわ」
「ねえ、この後、急ぐ?」
「ううん、今日は夕食は私1人だから全然急がないよ」
「あ、私も一人なんだ。じゃあさ、一緒に食事してっちゃおうよ!」
翔君こと金田翔と りっ君こと小山力也は幼稚園の時からの親友だ。
公園で走り回ったり、家でレゴを組み立てたり、とにかく 毎日一緒に遊んでいた。
進路が別れてしまったので、一緒に遊ぶことはなくなったけれど、たまに出会ったりすると、立ち話をしたり、一緒にハンバーガーを食べたりしていた。
何しろ親友だからね。
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