第2節 地獄の体育祭

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「ちなみに東堂ってなんの競技に出るんだったっけ」 「くじではリレーだった。小田は?」 「四人五脚」 「うわー、無難」 「だろ」 「でも小田、このクラスで他に友達いないじゃん。なのにチームプレイの競技って……ふっ」 「そこは言うな。しかも私まで避けられてんのはお前のせいだからな」 「思い当たる節がないわ」 「思い当たる節しかないだろ記憶障害か」 手厳しい。 「ていうかリレーこそだろ」 「ほらリレーはさ、自分が走ってるときに抜かれなければそれでいいからさ」 「なにその自信」 「律ちゃん、運動神経いいのっ」 「きも」 シンプル悪口。 まぁ、あんだけ鍛えてたらそりゃ足も速くなるよなって話なんだけどね。 シークレット競技までは普通の体育祭なんだけどなぁ……。まぁ、と言っても普通の学校とは違い乱闘は少々起こるらしいが。巻き込まれなければオールオッケーだ。 「それにしてもハンカチとりってなんだろうな」 「明日にならないと分かんないね」 「自前のハンカチ用意しておくか……」 「真面目かよ」 小田の頭をペシッと叩くと、わざとらしく首をすくめる。 そういえば陽ちゃんに去年の体育祭のことを聞いたが、去年は『円の中〜一歩外に出れば地獄〜』という競技名だったらしい。ほんと、ネーミングセンスが謎すぎる。誰が考えるんだ一体。つまるところ、運動場に描かれたチームの円から出ればマイナスポイント、入ればプラスポイントになる単純な競技だったらしい。まぁでも、相手チームの人間を円から引きずり出すというのがメインの戦略になるので、地獄絵図だったらしいが。 だから今年もどうせ去年と同じように地獄と化すんじゃないかと思うが……。ビビリの小田にはこれ以上言わないでおいてやろう。 「そういえば、うちのクラス、羽賀さんと四ツ谷さんのクラスと一緒らしいよ。風の噂」 「へぇ。あの人たちにクラスの概念あったんだ」 「ずっと屋上いるもんな」 「長谷川さんのクラスは違うかった気がする」 「狙われんなよ、小田」 「あれ私殺られる?」 チーム関係なくある意味小田を狙ってきそうだからなあの男は。 「とりあえず厄祓い行っとこ……」 不幸体質が体育祭でも発揮されることを祈ってるよ。
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