最果ての魔法使い

4/9
前へ
/9ページ
次へ
「そんな……あれは」 最も安全な場所と言われている終末の断崖は、魔王の居る魔島の対岸に位置していたのだ。 そして私の知る最強の魔法使いは、勇者パーティにいるアンジェリカさんではない。 この最果ての地に居る魔法使いの彼女こそが、このローレンス大陸で最も最強の魔法使いであることが分かった。 そして、何故学園長が優秀な魔法使いしか、この場所へ行かせれないのかも、その時悟ったのだ。 「よう、待っていたぞ」 「こっ、これだけの数の魔物をアナタ一人でいつも食い止めているのですか?」 「ああ、そうだが」 ああ、そうだがって、良くそんなに淡々と。 夥しい数の魔物が海を越え、この岸へと上がろうとしている。いや、それだけじゃない。翼を持つガーゴイルやワイバーンなんかも数百匹は下らない。 「こっ、こんなのを毎日……すっ、凄すぎる!?」 「最果てに居る灯台守の魔法使いが、こんなそばかす美人で驚いたか?」 「いえ、そっちじゃなくて。ウジャウジャと湧いてくる魔物を次から次へと消滅させてる先生に驚いています」 「ちっ、そっちか」 いや、どう見てもそっちしか無いでしょう。それにそばかす美人って言われても、さっきから前を向かれているので、本当に美人なのかも分からないし。 後ろ姿はすらっとしてて、程よく肉の付いたお尻に、少しくせっ毛のある赤い髪だとしか分かりませんって。 それにしてもプリプリしてる、羨ましい。 着ている服は至って普通で、特に高級そうな物は身に着けていない。ブーツも一般の魔宝具店にあるものだ。 ただ、彼女が右手に持っているロッドだけが普通じゃない。何故なら、あれは極限の魔法使いしか持つことの出来ない冥王の杖だからだ。 杖の頭には大きな無色透明の石が嵌め込まれ、その下に水、金、地、火、木、天の石が埋め込まれている。 つまりは、この世界の全ての属性の魔法をこの人は操ることが出来ることを意味しているのだ。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加