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「母さん、お腹が空いたよ」
「え?」
「飛んだらお腹が空いちゃったよ」
坊やは早く早くと大きな口を開け、いつものように母さんがエサを運んでくれるのを待っています。
今までの子供たちであれば、飛び立ってすぐに、じゃあね、母さんと巣立ちをします。
元気でね、と見送ればそれっきりでした。
けれど、坊やにはいつもの5倍の愛情を注いで育てました。
一緒に大きくなるはずだった子供たちの分の愛を一身に注ぎました。
だから今まで育てた子の誰よりも大きく育ったし、一番の甘えん坊です。
一緒にいる時間も今までのどの子よりも長かったものだから、ホオジロ母さんだって可愛くて仕方ないのです。
「仕方ないわね、今エサを取って来るわ」
飛べるようになった坊やのために、エサを取りに行く自分が何だか可笑しくなって、ホオジロ母さんはキレイな声で歌います。
――チョッピーチュルルピピピロピー
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