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帰り道。
桐生が送ってくれたのだが、車は桐生の家の前を通り過ぎる。
聡花の家より手前にあるからだ。
「すみません。
遠回りさせちゃうみたいになって」
「いや、いい」
と言われたあとで、しんとなる。
この人といるときの、この沈黙が嫌なんだよな~と思ったとき、立派な犬を散歩させている人が見えた。
鼻筋が通って毛並みがフサフサした立派な犬を連れている人だ。
「あー、あの犬。
可愛いですけど、噛んでくるんですよね~」
チラ、と横を見た桐生が、ああ、と言ったあとで、
「俺には噛みついてこないな」
と言う。
なんだろう。
犬も人間を見るのかな……と思っているうちに、聡花の家に着いていた。
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