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「人間そっくりのヒューマノイド……かぁ」  私は返答の言葉に困ってしまい、間延びしたコメントしか出来なかった。 「ごめん」  ケイトが小さく謝った。 「ウチ、ホンモノのケイトじゃなかったんだって。お姉ちゃんも言っていた。貴方はニセモノだって。ホンモノのケイトじゃないって。自分でもびっくりしちゃった」  ケイトの声が震えていた。今にも泣き出しそうな声だった。こんな声が、造られた物から発せられるのか。  私はどうも、彼女がニセモノだとは思えなかった。 「私はヒューマノイドのケイト……あなたの事しか知らない。私にとっての、ケイトはあなただけだよ」  私はケイトの肩に手を置いて話した。 「初めて出会った時のこと、覚えている?」  私の問いにケイトは小さく頷いた。 「飲み会で意気投合して、一緒に映画を見に行くようになったんだよね」 「そうそう。その時、楽しそうに話すあなたに私は惹かれたの」  ヒューマノイドということは、元の性格や思考がプログラムされているのだろう。  だが、多数の人との会話を経て、学んでいくヒューマノイドは、ほぼ人間に近しかった。  思えば、私はそんなところを含めてケイトの事が好きになったのだ。 「私は、私が出会ったあなた自身を好きになったんだよ」  優しく教えるようにケイトに告げた。本当にそう思っていると伝わるように。  ケイトにはそれが伝わったようで、彼女は瞳から透き通った涙を流した。 「おいで」  私はケイトに対し腕を伸ばした。彼女は私の腕に飛び込み、声をあげて泣いた。私は微笑みながら、彼女の背中を優しく叩いた。
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