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「仕事仕事仕事って、浮気男のヘタな言い訳みたいだな。この令和の世の中に、仕事で毎晩飲み歩くなんて、ちょっとありえねーぞ。家で待ってる鈴音の身にもなってみろよ」
『浮気』という単語を聞いて、鈴音の肩がピクリとあがった。
まるっきり、そういうことを想像しなかったわけではない。
なんたって春一はとびきりのイケメンなのだ。
でも、そんな鈴音の反応に、春一と夏樹のふたりが同時に振り返った。
「浮気なんてあり得ないからな鈴音」
「今のは言葉の綾だから、気にすんな鈴音」
なぜかふたりして鈴音に取り繕った後、
「ほら、鈴音にこんな顔させんなって!」
夏樹が語気荒く春一に言った。
「余計なこと言ったのは夏樹じゃないか」
ごにょごにょ言う春一の声にかぶせるように夏樹は怒鳴った。
「毎晩鈴音が飯作って、春のこと待ってんだろーがよ」
鈴音は、なんで留守がちな夏樹がそのことを知っているのだろうと驚きながらも、目を見開く春一に慌てて体の前で手を振ってみせた。
「そんなの別にいいんですよ。だってみんなのを作るのと一緒だし。それに春さんの分は、秋哉くんが夜食に食べてくれてますし」
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