立派な幽霊

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 〇月×日 「佐東さんを立派な幽霊に育てようと思う」  佐東さんに憑かれてから一ヶ月近くたっていた。もはや同棲している彼女のような立ち振る舞いである。しかしながら佐東さんは故人であり、幽霊なのだ。彼女の体が透けているのが、なによりの証拠である。 「あはは。立派な幽霊ってなに」  バカにしたように笑う佐東さん。 「そうですね。うらめしげに話すとか相手を驚かすとか」  危害を加えるは、俺の命に関わるので言わなかった。  あと、一応これも聞いておこう。 「佐東さんの未練ってなんですか?」 「うーん。なんだっけ。あったと思うけど、忘れちゃった」  軽っ。だが、これで納得がいった。  おどける佐東さんをよそに、俺は決心をし、オカルト雑誌を買いに出かけた。
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