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伸びっぱなしだった髪が流石に煩わしくなって
先週、ユウギは自分で切った。
前髪は目の上あたりでプッツリ斜めに途切れ
横は顎の下あたりで階段状になっていた。
「ひどいね、まるで呪いの人形じゃん
もうちょっと毛先を自然に直してあげようか?」
「オマエ出来んの?」
乃愛はキッチンからハサミを持ってきて
胡坐をかいて座ったユウギと向かい合って膝まづく。
毛先に器用にハサミを入れていった。
長さは変えず、毛先を削いで顔周りに添わせると
なんとなく格好がついてきた。
近くで見るユウギの顔は
ほっぺたのふっくらした丸顔で
相変わらず小学生の時と同じだ。
ちょこんとした鼻
はっきりした二重の丸い目
乃愛の憧れるぷっくりした「涙袋」もある。
整え終わると、前髪は斜めのままだけど
オシャレでやってるみたいにも見えた。
「ワタシ天才じゃない?
ユウギ髪切ったら女の子みたい
いいなあ~ナミダブクロがあって」
そうなのだ。
ユウギの顔は、かなり可愛い顔だ。
「でも美人じゃないの、な」
美人って感じじゃないけど可愛い顔には違いない
と乃愛は思う。
ユウギは、
乃愛の見せた鏡の中の自分には興味がないらしく
向き直って座る乃愛の顔を、じっと見た。
「乃愛は…なんか男みたい顔なんだよなー
ビジンのくせに」
確かに、乃愛は男顔って
お兄ちゃんにも言われてる。
2時過ぎ、ユミが仕事から帰ってきた。
トンカツチェーン店の営業が再開したので
店長が短時間の下拵えの仕事を
ユミに回してくれたらしい。
部屋に戻るなりユミは冷蔵庫を開けて
何かゴソゴソ食べると
布団を敷いて瞬息で寝てしまったが
1時間もしないうちにLINEで起きて
今度は化粧を始めた。
そう、最近ユミは化粧している。
元々綺麗だから、化粧するととても若く見える。
「7時には帰るよ
晩御飯買ってくるから乃愛ちゃんも食べていきなよ」
化粧し終わると、急いで出かけていった。
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