3、君をのせて

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このところユミは体調がいい。 あまり足もひきづっていない。 昼からビールの缶を開ける機会が 減ったせいかもしれないし 経済的に余裕が出たせいかもしれない。 ユミが出かけると、 乃愛がユウギに訊ねた。 「お母さん、夕方も仕事なの?」 「いや、店長に呼ばれたんだろ  付き合ってるから」 「へ!付き合ってる?」 乃愛は目を丸くした。 「それって、カレシさんってこと?」 「まあそんな感じ」 ユウギのポーカーフェイスに 乃愛は何と答えていいかわからない。 よかったね、と言えばいいのか。 お母さんのカレシ… そういうのってユウギは嫌じゃないんだろうか? 言葉を探してる気配の乃愛に 「金くれるから逢うんだろ」 ユウギは付け足した。 乃愛の頭の中は、また目まぐるしく動く。 お金…?それって 愛人ていうのかな? 「…そっか…」 「それよか、オカンが戻る前に今日は 水を汲んどかなきゃなんないの 乃愛、手伝え」 ユウギは思い出したようにキッチンに向かった。 床に置いてあった段ボールをひょいと持ち上げる。 2リットルペットボトル1ダースの箱を 片手で持ち上げて脇に抱えた。 「なにそれ、空?」 「そう」 空のペットボトルの箱を ポイっと宙に投げて受け取ってみせた。 「公園行くぞ」 ユウギはそれを持ってさっさと玄関に向かう。
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