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良かった!
天使はドッコイ生きてるらしい。
チン!
とレンジが鳴ると
智子がソファからノソリと降る気配がした。
この、ノソリ、が最近多くなった。
男の家族が留守になって
乃愛の家のタガは外れたようだった。
娘と母は共犯者のように結託して
どこまでもズボラになる。
取り込んだ洗濯物は
たたまれることなく山になったままだし
ペットボトルもリサイクルに出されず
流しの脇に溜まっている。
乃愛も智子を雑然とした室内を
ノソリ、ノソリと動いている。
「先、食べてて」
乃愛に声をかけて
智子はソファにまた寝転がり、スマホを手に取った。
久しぶりにユミにLINEする。
智子は冷蔵庫のクリオネの瓶を見るたび
電気が止められそうになっている
ユミのことを思い出してしまう。
最近は、乃愛が冷蔵庫を開ける音だけで
思い出してしまう。
(ユミさんこんばんは!😊
体調どうですか?
コロナ給付金の申請、もうした?
10万円は助かるよね〜)
余計なお世話とは分かっているが
やはり、ユミが給付金のこと知ってるか
気になっている。
ご飯が終わる頃、返事が来た。
(智子さん、お久しぶりです😊
助成金の申請もう出したよ)
(良かった!
やっぱり余計なお世話だったね!)
(心配してくれてありがとう😊
自分は分かんなかったけど
木下さんが手伝ってくれたよ)
ん?キノシタさん?って誰⁇
ユミの言葉はいつだって謎めいている。
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