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1、会話
パートのシフトがだいぶ日常に戻り
智子は、夕飯前に帰れる日も増えた。
それでもコロナ前と比べれば
忙しいのに変わりなく
クタクタで帰ってやっとマスクを外し
シャワーを浴び、髪も濡れたまま
ソファに横たわった途端、寝落ち
もう、朝まで目覚めない日もある。
その夜も
(ああ、もう無理〜)
とソファに沈んだまま起き上がれなかった。
冷蔵庫に頭を突っ込んだ乃愛が
智子に声をかける。
「シュウマイと…
タケノコとコーヤドーフの煮物
コーンバターやん💗
焼きそばもあるー!
全部チンしていい?」
売れ残りのお惣菜はバラエティに富む。
今夜はデザートのプリンもあった。
半分寝かけてる智子が
イイよ〜と低く言うのを聞きながら
焼きそばのパックとプリンの後ろに
「れんげハチミツ」の瓶が有るのを
乃愛はチラリと確かめた。
ドアを開けた衝撃で瓶の中の水は揺れてる。
底の方に斜めに沈んだ天使も
斜めのまま揺れてる。
『いつ電気が止められるかわかんないから
預かって欲しい』
そう言われて
ユウギのクリオネを預かっているのだ。
冷蔵庫が止まったら「流氷の天使」には致命的だ。
てか、マジまだ生きてんの?
乃愛は指先で瓶を触った。
ヒラリ
と、天使の羽が一瞬開いて閉じる。
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