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・6
教室で彼女と別れ、ふらふらと帰路をたどる。その間、僕の気持ちはずっと霧がかっていた。誰かに「今日初めての恋人が出来たよ」などといったとしても、おそらく信じてはもらえなかっただろう。
多分そのくらい、僕はひどい顔をしていた。何気ない彼女の一言が、僕の全身をずっとかけめぐっていた。
人生は選択の連続だという。小さな選択の連続の先に、今という時間があるのだと。
ただ。その、『今』になって思う。僕は今まで、何か大切な選択をした事があっただろうか、と。
勉強。友人関係。高校受験。大学受験。そして恋人。何かを選択するその裏には、いつも必ずメという存在があった。
迷った時、困った時、僕はいつも彼の助言を当てにしていた。
しかし、彼の言葉たちは、果たして本当に『助言』だったのだろうか。助言と呼べるものだろうか。
鼓動が早くなる。
思えば、あの時も。
あの時も。
助言どころか、僕はいつもメの言葉のとおりに行動していた。
気づかなかったけれど。
――今まで、ずっと。
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