転移勇者は底辺騎士を装い魔王討伐から逃げました

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転移勇者は底辺騎士を装い魔王討伐から逃げました

 俺は大学の門を出た瞬間、異世界に転移し、国王の間に横たわっていた。王が叫ぶ。 「勇者様! 我が国を魔王の侵攻から救ってください。国宝である光の剣をお使いいただきたい!」  俺に戦争をしろというのか!?バカ言え、やるかよ!  この国最強の光の剣とやらを使い、転移者で組んだパーティーで魔王討伐をしろと言う。  まず、騎士団で剣術の訓練を徹底的にやらされることになった。なんでも、勇者と光の剣の組合せでしかできない必殺技があるとのことだ。国王によると、魔王軍が国境付近まで迫り十分な軍備を整える余裕がなく、勇者召喚に至ったとのことだ。  現代日本で平和に育った俺が争いなどできるわけがない。   光の剣で訓練すると、凄まじい技に成功する。剣が光を発して、稲妻とともに見えない速度の斬撃が出せた。俺が真の勇者であることをごまかせない。 「いやあ、偶然いい技が出ましたよ。もう再現できませんね」 厄介なことに、騎士団長には信頼されている。 「勇者様! 謙遜はいりません。あなたの実力は我が国最強だ!」  いよいよ、逃げられなくなった。    しかし、俺はある日、底辺の騎士に変装して、下級騎士に紛れ込むことに成功する。このまま勇者が行方不明で魔王討伐中止になれば、俺の勝ちだ!  騎士団長は心配している。 「最近、勇者様が訓練に顔を見せない」    まもなくして、ついに魔王軍との初戦闘の日が来る!  といっても俺は、底辺騎士に紛れてたらたらと訓練のフリをしていた。  適当に的に向かって剣を振る。 ドゴォォン!! パァン!! バァァァン!!  あの技だ……    騎士団長がやってきた。 「人目を避けて訓練とは、努力家は違う! さあ、勇者様、出陣です!」   
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