その白を染めて

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時刻は朝の8時半、無事に出社を済ませたあたしは経理部で溜まっている仕事をせっせと捌いていく。 営業部の木村くんとは部署が全く違うため朝から顔を合わせることもない。 諸々の精算などで関わることはあっても、そこまで密接に何かをすることはまずないのであたしは余裕をぶっこいて仕事に精を出していた。 お昼も無事に食べ終えて、午後の仕事も黙々と片付けていく。 集中していれば時間というものは早いものでさっさと過ぎ去ってゆく。 就業時刻の1時間ほど前、お手洗いから戻ってきたあたしは自席へと座ると、ぐるぐるっと首を回して気合を入れ直した。 よ〜し、あと少し頑張ろう! そう思い書類に手をかけた手が止まる。 あたしの斜め前に置かれた電話がピリリリリっと鳴り響き、内線2番がピカピカと赤く光っている。 「はい、野々原です。」 『よう。昨日ぶり。』 「っ!?(き、木村くん!?)」 そこから聞こえてきた声に、声もなく驚いた。 な、なんてこと。 まさかこのタイミングで木村くんから内線を貰うことになるとは思ってもいなかった。
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